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●特集記事
◆仙台国際音楽コンクールの成果と課題 菅野 潤
■あふれる熱気
第一回仙台国際音楽コンクールは、8、9日のピアノ部門本選会をもってその日程を終え、あとは7月5、6日の入賞者ガラコンサートを待つのみとなった。3年ほど前からこのコンクールにかかわった者として、「祭りの終わり」の充足感と一抹の寂しさをかみしめている。
「祭り」と書いたが、国際音楽コンクールは、一般の音楽祭にも増して、各国から集まる参加者と審査員、ファイナルに向けて高まる緊張、演奏者の若さと熱気で、祝祭としての性格を持つ。その意味でもこのたびの催しは、大きな成功をおさめたと言えるだろう。
何よりも、入賞者をはじめ多くの若者たちが、期待以上の演奏で聴衆に深い感動を与え、連日会場を埋めた人々もまれに見る熱い反応でこれにこたえた。一線の演奏家と指導者で構成された審査員団も説得力のある審査を見せ、300人を超すボランティアをはじめ、たくさんの市民がこれを支えた。出場者、審査員、市民の三位一体がコンクール成功のカギと言われるが、世界各地のコンクールを以前から見てきたものとして、今回の出来は出色のものであった。同じ曲の繰り返しにもかかわらず、清新な感覚と演奏でソリストを支えた仙台フィルのカルテットとオーケストラにも心から敬意を表したい。
■国柄超え交流
開催に当たっては、仙台市の事業として、1995年の「若い音楽家のためのチャイコフスキーコンクール」との継続性も一つの課題であったが、参加者のレベルのみならず、一部の音楽人や企業が跋扈(ばっこ)することなく中立性をよく保ち、当初の懸念を乗り越えることができた。
課題曲と参加者の年齢制限はコンクールの性格を決める要点である。今後、自前のコンクールとして、今回の25歳という設定をそのまま保つか、また協奏曲重視という課題の特色を堅持しつつも、例えばピアノ部門でもう少し独奏曲を多くするか、さらに仙台フィルの負担を軽減するために、両部門の間隔を少しあけることなども議論されることになろう。
日本勢の上位入賞はならなかったが、真摯な胸を打つ演奏のみならず、その立派な態度と礼節でも、遠来の若者たちに私たちは多くを教えられた。芸術の世界に国境はないということをあらためて実感し、個人のレベルでの接触こそが友情を育て、国際理解のカギとなることを再認識させられた。
■力あわせ育成
仙台開府400年を記念する「仙台国際音楽コンクール」はいよいよ船出した。ジュネーブ、ミュンヘン、リーズなど、地方中核都市がその最も由緒ある音楽コンクールを長年開き、その名を一層高らしめている例は数多い。
音楽に深い造けいを持たれ、バイオリン部門の表彰式に来臨された高円宮殿下に「日本を代表する国際コンクールとなる礎が築かれた」とのお言葉を賜ったが、この事業を大きく育てて地域の、またわが国の音楽文化の向上をはかり、あわせて国際理解と親善を深めて学問、芸術の都仙台の名を広く世に知らしめるよう、さらに力を合わせたいものである。
(2001.6.28 河北新報掲載)
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