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●連載

◆遥かなる友へ(続)

菅野 潤

 パリは、曇り空の低く垂れこめる初冬の1日ですが、いかがお過ごしでしょうか。こちらは二週間の北米の旅から戻って既に10日あまりが過ぎ、ピエール・アモワイヤル氏との一連の演奏会、ドビュッシーの録音など盛り沢山の日本滞在をひかえつつ、束の間の静かな日々です。
 一年半振りで訪れたアメリカの話をしましょう。私の場合、ある土地や町を旅すると、不思議に後日、今度は演奏会や講演などでそこへ戻って行くことが多いのです。14年前、はじめて降り立ったアメリカの空港がセントルイスでしたが、やはりその例に洩れず、10月半ばというのに華氏80度−摂氏25度を越すインディアンサマーのセントルイスに還って来ました。旧知のヴァイオリニスト、マイケル・バルタ氏の出迎えを受け、ミシシッピ−川を渡ってイリノイ州に入り、二時間のドライブで、大学町カーボンデイルにたどり着いた訳です。
 演奏会もさることながら、初めての英語での公開講座ということで心配でしたが、どうやら思ったより言葉につまりもせず、ほっと胸をなでおろしました。それにしても、アメリカの大学の設備と環境には目を見張らされました。
 カーボンデイルは、人口25,000人ほどの中西部の町ですが、その半分は南イリノイ大学の学生とのこと、教員や関連の業者などを含めると、大学を中心に町が形成されたと言って過言ではないでしょう。その後、セントルイスで、「世界ピアノ教育者大会」〜といっても参加者はアメリカ人が殆どでしたが〜という集まりに出席しての感想でもありますが、私自身、日本での学生時代、周囲も含めてヨーロッパ志向が強く、留学先も、フランスかドイツかとは考えたものの、アメリカは顧みもしませんでした。しかし、どうもそのアカデミックな層の厚さというのは大変なもののようです。ただ個人レヴェルで見るとその教育者大会でも、音楽的で内容のある指導をしていたのは、皆ヨーロッパ出身の、移住第一世代の音楽家達ではありましたが・・・。
 今回は、さらに東部のハートフォード大でも二日間教えた後、ニューヨークに上り、2001年の仙台国際音楽コンクールの為に、カーチス音楽院をフィラデルフィアに訪問、またジュリアード音楽学校を見学しました。
 新たな千年紀をひかえ、今はこの町も、嵐の前の静けさのようです。私にも、パリでフランス人の演奏家と、2000年を祝うコンサートを新年1月にする、という話が来ました。急ではありますが、ドイツへの演奏旅行に発つ前に、是非実現させたいと思っています。
 区切りは区切りとして、時は私達と関わりなく流れてゆくもの、まず年内の録音、演奏会に力を尽くし、先に進んでゆきたいと考えて居ります。  ではお元気で。お目にかかる折を楽しみに。

(後援会会報 第9号)


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