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●雑誌掲載記事

◆次元の高い音楽を聴かせて〜菅野潤ピアノリサイタル〜
  
家永 勝:「CHOPIN」2011年2月号


 彼は桐朋学園大学卒業後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に入学、ピアノ科と室内楽科を卒業。その後エコール・ノルマン音楽院にも在籍し、演奏家資格を得る。数多くの国際コンクールにも上位入賞。パリを拠点とし演奏活動をおこなっている。冒頭のモーツァルト、幻想曲ハ短調K396は弾かれる機会の少ない曲だが、ふたつの主題のバランスも良く、繊細なタッチと高いテクニックが輝き、透明感のある音色もめっぽう美しい。展開部の付点音符の流れも実に流暢であった。シューマンの幻想曲ハ長調作品17の1楽章は、音のひと粒ひと粒が実に美しく、大きな盛り上がりを見せ、流れが少しも途切れず実に音楽的。2楽章からは精神性を伴ったシューマン音楽が伝わり、3楽章は雰囲気を大きく変え、安らいだ感情を充分に伝える。通して内容の濃い、聴きごたえ充分な演奏であった。
 後半はショパンの前奏曲作品28、全24曲を弾く。この前奏曲は、1曲ごとの趣旨性格が丁寧に表現された音楽の流れに大きな価値がある。作品の本質的な構想も浮き彫りにされ、ショパンの旋律が節度をもって表現されており、そこに奏者の考えが伝わる。集中力がまったく途切れることなく24曲が肌理細やかに弾かれていく中に、この作品の意味と価値がある。前に述べたが、実に音楽的なタッチを持つ演奏は聴く者に大きな感銘を与え、そして次元の高い音楽を聴かせたのである。みごとな前奏曲であった。
(11月24日・東京文化会館(小))

 


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