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●雑誌掲載記事 ◆並々ならぬ愛着感じられる菅野潤ピアノリサイタル
道下京子:「CHOPIN」2008年8月号
菅野潤は、現在パリを拠点に演奏活動を行う一方で、バルセロナ・カレーロ音楽院の教授を務める。桐朋学園大学卒業後、パリ国立高等音楽院とエコール・ノルマルで研鑽を重ね、ヴィオッティやパリ国際室内楽コンクールなどで上位入賞の経歴をもつ。
当夜はメシアン生誕100周年記念として、2夜にわたり行われる『幼子イエズスに注ぐ20のまなざし』の全曲演奏の第1回。菅野は、桐朋学園大学時代、日本でメシアン夫妻と出会い、パリへ留学してからはピアノを夫人のイヴォンヌ・ロリオに師事しており、演奏においてもメシアン作品への並々ならぬ愛着が感じられた。最初に『火の島』T、Uが演奏された後、作曲家で音楽学者の丹波明氏と菅野が舞台上で対談した。メシアンに直接作曲を学んだ丹波氏は、メシアンとの思い出や『幼子イエズスに注ぐ20のまなざし』をわかりやすく語った。「『複雑なまなざし』が(メシアンの)生活においてすべて現れていた」と当時を振り返る丹波氏。また、この作品に用いられているインドのリズムについても言及された。休憩を挟み、後半は、菅野の演奏による『幼子イエズスに注ぐ20のまなざし』第1〜第10番。「神の主題」が提示される第1曲では、菅野の柔らかく澄明な響きがすべてを包み込む。静寂の世界に天上から明るい響きの光が穏やかに降り注ぐ。一方で、第5曲における様々な音要素の反響から生み出される神々しく幻想的な雰囲気や、第9曲では不変の音楽の世界を感じさせた。また、第2曲では重厚な和音と旋律の対象を大胆に汲み取ることで、奥行きのある響きを創出し、第4曲では交互に現れる韻律をはっきりと描き分けるなど、菅野の明晰な演奏も印象的であった。第11〜第20曲が披露される第2回(12月11日)も待ち遠しい。
<2008.6.4/東京文化会館小ホール>
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